7月20日(木) あれは昨年の暮れも押し迫ったころ、1通のメッセージが寄せられた。
「プロレスに行く機会ないですか? 周りに一緒に行ってくれる人がいなくて。よかったら誘ってください」というものだった。観戦場所は大阪となる。
別に誘うのはいいのだが、いろいろと条件があった。
話を聞くと、まったくの初めてではないが、会場での観戦は1、2回した程度。こちらが仕事をしていて、観客席に1人座らせるわけにはいかない。週末は仕事で都合がつかないとのこと。そして仕事場は神戸。しかも定時に業務終了といかないことが多い。お客様あっての仕事なので、こちらの都合だけで予定が立てられないという。
「直前にならないと、行けるかどうかわからないと思います」
さらに話をうかがうと、周りにいるプロレスファンは「父ぐらい」。当然、団体がどうとかといったプロレス事情はもちろん、プロレスラーの名前すら往年のレジェンドか地上波番組に出演している何人かしか知らない。初心者だけにこちらもいろいろと考えさせられた。
まず第一に、どの団体にお誘いするか。といっても、平日に大阪で興行を打つ団体は限られてくる。しかも、直前(前日)でもチケットが入手できる団体。
それから日程が発表されるたびに都合を伺っていたが、なかなか都合が合わない。ようやく実現したのが、この日のNOAH大阪大会の観戦となった。
全く予備知識がない。見たまま感じてもらった方がいいと判断して、隣に座りながら特に解説はしなかった。というより、どんな反応をするかという点に興味があった。一応、第1試合、第2試合で、基本ルール(反則、リングアウトカウント、ジュニアヘビー級など)だけ、リング上での展開に合わせて説明。それ以外は「○○は実家が肉屋」「××の父親は県議会議員」といった試合とは全く関係ない“無駄な情報”を注入する。
最初は緊張しながら観戦している様子だったが、試合が進むにつれ拍手もするように。大声で応援するところまではたどり着かなかったようだが、リング上のどのような動きにどのような反応を示すかは見ていて新鮮。
とにもかくにも、娘に付き合っているような感じに浸った一夜。次は観戦仲間を紹介してあげるかな……。