6月16日(土) 新日プロ大阪大会へ。
会場入りするや、関係者に挨拶。その際、G1大阪プロモーションをブックキングした関係からテレビ朝日関係者を紹介される。
アリーナ開場前からロビーを開放し、グッズ販売時間を繰り上げたこともあってか、開場後、客席が埋まってく様子が少し早い感じ。第1試合が始まるころにはほぼ満員。第4試合が始まり2階席後方には立ち見客の姿が。ざっと数えて100人ほど。
ステージを設置していることで、スタンド席を一部封鎖しているが、今回は開放部がいつもより2ブロック多い。当然、その分、座席数は増えているが、そこも埋まっている。
空席が多少あるものの、ポッカリ空いているのではなく、本当にところどころという感じ。営業担当に訪ねたところ、「完売で、早い時間から立ち見券を売りました」とのこと。
しかも今回はアリーナ席各種を¥2,000- 値上げしている。警備担当者に訪ねると「今回はアリーナ席も増えて2,000席ほど並べた」というから、それだけでざっと400万円の増収。さらにスタンド席を開放した部分が約200席だから80万円、立ち見を含めると、計500万円の売り上げ増となる。
発表された観衆は6850人(超満員札止め)。さすがにこれは水増し。府立体育会館の固定席(スタンド席)は3,131席。これにアリーナに並べたイスの数を加えると、多めに見積もっても、約5,200席。しかもスタンド席の一部は封鎖しているのだから、せいぜい4,500席ほど。立ち見の100人をプラスしても…。
会場では古参プロモーターとも顔を合わせた。「昔は後ろまでセットバックを組んで、びっしりイスを並べたのに…。(東西で)4列、(南北で)6列少ない。まぁ、ここまでよく、戻ってきたけど」とのこと。
ちなみに、この古参プロモーターからある方を紹介された。「知ってるか?」と尋ねられ、見覚えのある方だが「何でここにいるの?」と名前を口に出すのを躊躇してると、「啓介やがな。お前、知らんのか? ホンマにプロレス記者か?」。するとその方が「ブラジルから見に来ました」。そう、アントンの弟である猪木啓介氏だった。
さて、第1試合開始。その時点で会場は大いに盛り上がっている。全試合終了後、金澤克彦氏は「G1決勝の両国のような雰囲気」と語ったが、それ以上で、90年代の新日最盛期と同じ空気を感じた。あの当時は大阪府立2連戦を成功させていたし、越中詩郎vs天龍源一郎という全日対決と思わせるようなカードでも掛け値なしで6,000人以上の観客を動員していたものだ(90年代は6,400人で札止めと発表されていた。当時の席の並べ方からすればほぼ実数)。
そういえば90年代の隆盛は大阪から始まった。これは当時、営業部員として大阪担当だった菅林直樹氏が「プロレス歴史街道・大阪編」のインタビューで証言されている。再び新日黄金時代が大阪からスタートするのか…。
第3試合のIWGPジュニアタッグ選手権試合では、怒りの獣神がマスク下のペイント姿をあらわにした。真っ赤な毒霧を噴射し、テーブルをコーナーに立てて、リングロープを締める金具を手にタイチに突進。かわされてテーブルに突き刺さったが、その高さを見る限り、顔面に突き立てようとしたのは明らか。
とはいうものの、この攻撃は96年10月に神戸で行われたグレート・ムタとのドリームマッチで見せたのと同じ展開。そういえばライガーは、キレると相手が長州力であろうが、星野勘太郎であろうが、ケンカ上等とばかりに向かっていった。それだけ新日戦士であるプライドと強いハートを持っている。それがTAKA、タイチと異なる点。育ちの違いとも言おうか。
そんなライガーだが、ひとつ異なっていたのは、ムタ戦は敗れたものの、この試合では勝利を収めたこと。バックステージではTAKAとタイチを批判するだけでなく、会社のマッチメークに対する姿勢にもかみついた。インタビューするアナウンサーに「お前はどう思う?」「人の話、聞いて、言いなり か?」「おかしいと思だろ? だったら口に出せ!」と今にもつかみかからんばかりの勢い。
第4試合のタッグマッチではシェルトン・ベンジャミンが運動能力の高さを存分に発揮。
一方で、FCWで教えていることを再確認するにはいい試合だった。彼自身はFCWを経験していないものの、WWEがファームで教えているものは変わらない。やっぱり元WWE。それはMVPにもいえるが。
同時にタマ・トンガもポテンシャルの高さを発揮。しかしやっぱり、親父さんの若いころそっくりだな。
第5試合のIWGPタッグ選手権戦は4選手が1度もリング上で闘わないうちに両者リングアウトのゴング。それはいいが、これって試合権利は誰にあったんだ? 誰かが試合の権利を得ないと、試合は始まらないはず。ということは、試合開始のゴングを要請したレフェリーのミスジャッジとも受け取れる。こういうところをあいまいにしちゃうと、勝負論からかけ離れてしまうのよね。
再試合でもノーコンテストで決着つかず。こうなったらWWE方式ではないが、ツアー全大会で防衛戦を組めば。そうなったらなったで、いろいろと罠を仕掛けてきて、なかなか王座移動がなさそうな感じも。矢野の頭脳がいろいろな防衛戦術を編み出しそう。それはそれで面白いと思うが…。
セミの真壁vs鈴木みのるは単純な闘い模様。それでも観客をひきつけるのは、彼らの技量のなせる業。
その意味ではメインのオカダvs棚橋も同様。
2月と同じような闘い模様。ハイフライフローにしても、背中への一撃を決めた後の2発目をヒザを立てられて迎撃された点など、全く同じ。コーナーに座ったところにドロップキックを浴びて場外に転落したシーンもしかり。異なっていたのは、棚橋がツームストーンドライバーとレインメイカーを徹底してかわしていた点。
そういえば大阪府立は会場の作りの関係から天井からレインメイカー100ドル札を降らすことができず。天井裏にまで入り込み可能性を探ったものの、できないとなった。そこで札を吹き上げる形の演出に。オカダの入場シーンがこれまでと違った感覚に映ったのでは?
さて、試合後はライガー選手と食事。いろいろと意見も交換。この日のタイトル戦に関しては、「パフォーマンスマッチになっちゃった」と漏らしていた。しかしながら、攻撃に転じたときの一つひとつの技は迫力のあるもの。テーブル貫通パワーボムも一発で破壊したし。
ちなみにマスクマンに変身してから、素顔で試合をしたことはないという。青柳との異種格闘技戦でマスクを破られ、自ら脱ぎ捨てて闘った例外はあるものの、最初から素顔でリングに上がったことはない(別キャラはあるが…)。そう考えると、デビューしてから23年以上も一貫してマスクマンで通しているのは日本人としては前人未到だ。
しかも、今でもライガーに勝利すると箔が付く。そのポジションをキープしているのだから大したもの。
PACに関して尋ねてみたところ、「あれは凄い。飯伏がかすんじゃったもん」。この日のフィニッシュにパワーボムを使ったように、復帰後の飯伏が飛び技を抑えているのは、それを敏感に感じているからかもしれない。