7月8日(木) ノアの新人事が発表されたが、新相談役として名を連ねた百田光雄が早くも辞表を提出した。
最初に新人事の顔ぶれを見て思ったのは、「現役レスラーで占めてるなあ」ということ。プロレス団体から脱皮しきれないのか…と同時に、現役レスラーを役員にしたほうが何かと利点が多いのだろうとの思い。リング上に関しては問題ないノアだけに、必要なのは営業、企画、宣伝・広報をテコ入れ。そのあたりは有能な側近で固めればなんとかなるだけに、表向きの人事よりも、その周辺が気になるところ。
そこに飛び込んできた百田相談役の辞任の報。彼が推した“小橋新社長”が却下されたことが原因とされているが、社長と現役の二足わらじは想像以上に過酷。現役レスラーとしてトップ返り咲きを目指している小橋が新社長に就任すると負担が大きい。すでに最前線から一歩引き、ファミリー軍団時代の馬場さんの領域に足を踏み入れている田上だけに、彼を新社長に据えたのはその点を考慮してのもの。
問題は“百田相談役辞任”をどう読むか。
20代の副社長登用など思い切った若返りを図った。目先だけでなく、5年後、10年後を見据えての新人事。この機を逃しては大きな変革は望めないとの作用が働いたからこそ、60代以上の役員を相談役に棚上げ(降格)したのではないか。不満が生じることはある程度、予想されていた。いうなれば想定内。一枚岩をアピールするにはマイナス要素となるが、だからといって先送りにしても、いずれ同じ問題は生じる。
仲田龍前取締役の“降格”にしても、いろんな見方があるだろうが、若返りを図るにあたって自身が取締役に名を連ねていては示しがつかないので自ら降りたのではないかとの想像も難くない。龍さん自身、自分が帯同していない大会で大事故が起こったことに大きな責任を感じている様子。自ら取締役を辞したと考えるほうが自然だ。「(取締役として)残れなかった」という向きもいるようだうが、あまりにも急なことで引き継ぎをする時間もないこの時期に、事実上の心臓部を取り除くなんてあり得ない。
さて、今回の新人事の絵を描いたのは誰なのか。“黒幕”がいるとしたら、“百田取締役辞任”は思惑通りとほくそえんでいるかもしれません。
まあ、そんなうがった見方は必要ないかもしれないが、そのへんが“ファイト”の悲しい性ですな。