7月17日(木) 野茂英雄引退の報が飛び込んできた。
日本人メジャーリーガーの草分け。「彼が道を切り拓かなければ、イチロー、松井秀喜、松坂大輔らの活躍もなかった」といわれているが、ファンからすれば、米大リーグを身近な存在にしたことが最大の功績となる。
時の大統領に「日本人が輸出した最も優秀な製品」とまで言わしめた野茂。日本人大リーガーの大ファンであるD−LOブラウンにとって最高のプレーヤーはイチロー。「マツイはグッドプレーヤー。シンジョーはショッパイプレーヤー。イチローはマイベストプレーヤー」と評していたが、「でもノモの存在を忘れてはいけない。彼はグレートプレーヤー。すべてのジャパニーズMLBプレーヤーは彼へのリスペクトを忘れてはならない」とことあるごとに繰り返していた。
それまでの米大リーグに対するイメージは「日本の野球とは力の差がある」というもの。それを野茂の活躍が変えてしまった。「力の差は否定できないが、日本の野球の技術をもってすれば、十分に米大リーグに通用する」。
投手だから技術で勝負できたのは否定できない。イチローは2〜3年、十分に準備してから米大リーグに身を投じた。
スタジアムにおける観戦では、ひいきチームの攻撃時に応援するのが普通。しかし野茂が登板したゲームでは、守備のときも席を離れることはできなかった。カネが取れる奪三振ショーを披露してくれるからだ。
2002年4月、新日プロLAドージョーオープンを取材した際、ドジャースタジアムに足を運んだ。開幕第2戦、野茂が登板するゲームだった。対するはシアトルマリナーズ。イチローとの日本人対決が注目された。その日の直接対決では野茂がイチローを抑えたものの、試合はマリナーズの勝利。野茂は途中降板。イチローの最後の打席を見終わって、スタジアムをあとにした。
野茂が登板すると、スタジアムに「K」のサインボードが並んだ。
ドクターK。「悔いがないということはない」とマウンドに未練を残して現役を引退する野茂。その名から、ベースボールレジェンドというよりヒーロー。米球界では殿堂入りも検討されているという。