6月19日(火) 1枚の写真を手にスーパー・ストロング・マシン引退セレモニーが行われる後楽園ホールに向かう。
会場入りすると、顔を合わせる関係者から地震の状況を尋ねられ、幸い自宅は大きな被害もなく、朝の通勤時間帯に起
こったこと、それによって交通がマヒして混乱が生じたことなどを伝える。
セミファイナルが終了したところで、写真を取り出し、記者席にそっと置く。そして、メインのマシン引退記念試合。まずは増殖したマシン軍団が入場。その後、将軍KYワカマツに先導される形でS・S・マシンが姿を現す。相当、体調が悪く、会場前には関係者の間で「リングに上がるのもどうか……」という言葉が交わされていたが、ゆっくりした足取りでリングイン。やはりプロレスラーはリングを前にすると不思議な力が湧いてくるようで……。
○○が扮したスーパー・ストロング・マシン・ドンは、体形、動きが本家にそっくり。これにはホール後方で観戦していたタイガー服部レフェリーも苦笑い。試合では増殖した5人のマシンがS・S・マシンのシグニチャームーブを披露。本家以外に使い手のいない魔人風車固めで引退記念試合は幕を閉じた。
一旦、バックステージに引き揚げてから引退セレモニーに移行。S・S・マシンとかかわりを持つ現役、OBが順次リングに上がってから花束が贈呈されたが、マスコミからの記念品贈呈の時間はなかった。マスコミからは写真パネルが贈られることが多かったが、その写真を選ぶのは楽しみだった。他社はベルト姿や思い出に残る試合から選んでいたが、個人的には海外武者修行時代の写真を選ぶことが多かった。その任を任されていたなら、やはりカルガリー時代の写真にしていただろうなあ……。
セレモニーを終えたS・S・マシンはリングから飛び下りて姿を消した。それを見て、記者席に置いていた写真を引き揚げてバックステージへ。マスコミに囲まれて最後のコメントを発して控室に消えた。しばらくして素顔に戻ったS・S・マシン。そこで「最後、見ていただきました」とその写真を差し出した。セレモニー後はどこかしんみりした表情だったが、その瞬間、笑顔がこぼれた。そして、「ありがとうございました」と写真に向かって合掌。「ここまでやってこれたのは安達さんのおかげです」と言い残して会場を後にした。