7月3日(火) 新日本・全日本40周年記念大会の余韻がまだ残っているよう。ファンにはおおむね好評だったようだが、そこに一石を投じたのが馳浩。自身のblogでメイン(棚橋弘至vs真壁刀義)に厳しい意見を述べている。
「ファンが喜んでるんだからいいじゃないか」で終わらせないところが彼らしさ。それはともかく、あの意見ってミスター・ヒトそのものじゃないか。さすがは師が「ブレット・ハートと並んで一番の優等生」と言っただけのことはある(ちなみに劣等生は若松市政とジャンクヤード・ドッグ)。
そういえば、「週刊ファイト」での連載「カルガリーへ来た若武者たち」の第1回も馳だったなぁ…。こんな感じで師は馳を語っていたものだ。
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馳をカルガリーに呼んだのはオレなんだよ。
ロン・スターがプエルトリコからカルガリーに来た時、「馳は元気にやってるか?」って聞いたら、「最近、試合してない」って。
カルガリーはちょうどオーエン・ハートを売り出そうとする時で、その相手役が必要だった。そこでオレがジャパン・プロレスに連絡したら、「よろしくお願いします」って。それで新倉(史祐)といっしょに呼んだんだ。
馳はプエルトリコでデビューして半年ぐらいだったかな? でも、最後の方は週に1試合ぐらいだったと言ってたから、20試合もしてないんじゃないの?
カルガリーへ来て2日ぐらいアメリカンスタイルを教えたら、オーエンと最初からいい試合をしたんだ。それからだね、新倉選手よりも馳を使うようになったのは。
1度、スタンピード・パビリオンでオーエンとの45分フルタイムの試合を見たけど、すごかったよ。2人とも動きっぱなし。場外に2、3回飛んだだけで、ずっとリングに中で休みなく動いてたもん。お客さんも途中からみんな立ち上がって、盛り上がってたよ。
オレが見た中で一番すごい試合だったな。スチュ・ハートもリングに上がって、2人の手を上げたぐらいだから。リングに上がろうとするから、オレが「スチュ、何するんだ。馳はヒールだぞ」って止めようとしたけど、スチュは「関係ない」って。それだけいい試合だったんだよ。
そんな試合を、馳はデビュー1年ぐらいでしたんだから大したもんだよ。
落ちかけてたカルガリーのプロレス人気が、馳とオーエンで盛り返したんだから、やっぱり馳ってすごいレスラーだよな。
馳は英語もできたからチャンスも多かったんじゃない? 日本にいるときに覚えたらしい。それもオレみたいにブロークンじゃなく、チャントした英語をしゃべって、TVでもインタビューしてたぐらいだから。普通、日本人選手って、インタビューでも黙ってるだけでしょ? やっぱりあいつは頭がいいんだろうね。
それと馳は練習が好きだったよ。前の晩、どんなに遅くまで遊んでても、朝の練習だけは休まなかった。
それとリーダーシップを執りたがる。
デビル雅美と小松美加がカルガリーに来た時、よく馳といっしょに練習してたんだけど、馳が教えてるのよ。デビルって、あのころもう10年ぐらいキャリアがある大先輩でしょ? それを平気な顔して教えてるんだから。こっちがビクビクしてたね。
でも、デビルもいい子でね。馳の教えを「ハイ、ハイ」って素直に聞いてるんだよ。デビルって今、女子プロで一番うまい選手でしょ? やっぱり馳は先生をやってただけあって、教え方がうまいのかな?
そんなのを見てたから、オレは絶対にこいつはトップを取るヤツだって思ったね。オレの目は確かなんだから。
でも馳ってヤツは教師をやってたという割にはチャランポランなところが多くてね(笑い)。それにハメをはずすことも多かったな。